がんの痛みについて


痛みに対する薬物療法

軽い痛みから中程度の痛み

アスピリン、NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)やアセトアミノフェンの経口剤(経口不可能なときは坐剤)を使用します。

これらの薬剤は鎮痛作用だけでなく抗炎症作用や解熱作用も持っています。関節痛や腰の痛み、抜歯後の痛み等に使われるお馴染みのものです。NSAIDsでよく使用されているものには、ロキソニン、ボルタレン、ソレトン、ハイペン、ロルカム、オステラック、モービック(以上製品名)などがあります。それぞれ作用の強度、作用発現の時間、作用の持続時間、副作用などが異なります。これらの鎮痛剤が単剤で効かないとき、さらにNSAIDsを追加するのではなく、弱いオピオイド鎮痛薬(オピオイド鎮痛薬の解説はこちらへ)であるリン酸コデイン、低用量から始められるオピオイド鎮痛薬のオキシコンチン5mg錠などを追加します。

強い痛み

強い痛みが出現したときは強オピオイド鎮痛薬を使用します。モルヒネ製剤の主なものにMSコンチン、MSツワイスロン、カディアン、モルヒネでないものにオキシコンチン、デュロテップ(以上製品名)などがあります。炎症性の痛みに対応するためには、NSAIDsを強オピオイド鎮痛薬に併用します。弱いオピオイド鎮痛薬であるリン酸コデインには、効力に上限があるため、強い痛みには使用できません。痛みが抑えられないようでしたら、強オピオイド鎮痛薬に変更します。オキシコンチンはそのまま継続し、増量で対応することができます。

強い痛みに対応する場合、痛みの強さにあわせて、オピオイド鎮痛薬の量を加減する必要があります。それぞれの痛みにあわせてオピオイド鎮痛薬の量を増減しながら決めます。経口剤投与が基本ですが、患者の条件に合わせて貼付剤や坐剤を選択します。用量の設定がうまくいって鎮痛効果が安定していても突然痛みが襲うことがありますが、このときは速効性のモルヒネ(モルヒネ水)、オキノーム(製品名)などを使用して対応します。

鎮痛補助薬

NSAIDsやオピオイド鎮痛薬の使用が痛みの除去の基本になりますが、さらにいろいろな薬剤を併用することにより痛みを和らげ、オピオイド鎮痛薬の使用量を減らすことができる場合があります。これを鎮痛補助薬といいます。
痛みが強いと交感神経が興奮して益々痛みがひどくなり、また気持ちが痛みに集中し、緊張、不安、恐怖が強くなります。また痛みのために不眠となり消耗してしまいます。これらの対策のために抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などを早期から使用します。オピオイド鎮痛薬にこれらの薬剤を併用すると、オピオイド鎮痛薬の量を減量できる場合があります。
また神経そのものが障害されて出現する痛み、骨転移に伴う痛みなどはオピオイド鎮痛薬が効きにくい痛みです。神経障害性の痛みには三環系抗うつ薬、副腎皮質ステロイドなど、骨転移にはビスフォスフォネートが有効である場合があります。

副作用について

いずれの薬剤も副作用が報告されています。副作用の出現には注意が必要です。特にモルヒネには便秘や吐き気の副作用がかなりの高頻度で出現します。副作用を上手に乗り切る事が痛みの除去の成功の鍵になることもあります。予想できる副作用に対しては事前によく理解し、便秘には食事療法や緩下剤、吐き気には制吐剤をうまく使ってコントロールしていきます。