



緩和ケアチームは2008年4月に発足したばかり。だが緩和ケア科田中桂子医師はこう自負する。
「結成した時から呼吸(いき)がピッタリなの」
医師、看護師、薬剤師、心理士、栄養士、歯科口腔衛生士、ソーシャルワーカーなど女性が多いプロ集団。
「専門が違うから、任せられる。すべきことは率先する」患者への想いは職種を越えて一つになった。
体の痛みや倦怠感など身体的苦痛を診る田中医師。担当医から依頼があるとすぐベッドを訪れる。
「美女軍団が来ましたョ」
困っていることは何だろう、望みは何だろう。話をよく聴いて会話の中から感じ取る。そして必要な治療は即座に対処する。これがチームポリシー“早期からの緩和ケア”。
痛みに苦しむ患者は治療を中断してしまいがちだ。それは治療を諦めたのでも、死を望むのでも決してない。痛みがあるから、眠れないから、適切な判断ができないのだ。医療用麻薬を使うことで、痛みが取れる。「もう一回治療をやってみよう」という意欲が湧いてくる。だからこそ、緩和ケアはがんと診断された時から必要だと語る。
「患者さんには本来の“力(ちから)”が備わっています。緩和ケアは患者と家族と医療者の“力(ちから)”をつなぐ『のりしろ』です」
神経科の赤穂理絵医師は精神的な相談が寄せられるたびに、緩和ケアの必要性を感じていた。睡眠薬を処方しても、痛みが取れない限り患者の苦痛はなくならない。
勉強会をしようと、緩和ケアに興味がありそうな医師や看護師に声をかけた。でも人が集まらない。それでも続けることが大事だと思った。毎月、自主的な勉強会を重ねるうちに活動が広がっていき、これがチームの前身となる。2009年からは念願だった家族ケア外来を無償で行っている。家族は、患者との接し方がわからない、本心を見せられなくて困っている。全国でも珍しい、家族を対象にしたカウンセリングだ。
「患者さんの希望を一緒につないでいけたらな、と思っています」

がん性疼痛看護認定看護師の郡由起子氏は痛みが出にくい動作や、上手に痛みを取る方法を患者や家族にわかりやすく話す“にこやか隊長”だ。医療用麻薬を飲むタイミングがわかると、痛みを抑えることができる。「痛みはコントロールできるんだ」という自信を持つことは、治療を続ける大きなきっかけになると話す。
病状が進行すると、薬剤数が急激に増えて患者のストレスは増大してしまう。がん薬物療法認定薬剤師の宮澤真帆氏は薬のアドバイスをしながら、その人が自身を見失わぬように支えたいという。
「母親“らしさ”、女性“らしさ”、その人の人生を尊重したい」
「ずうっと、ずうっと、ずうっとね。やりたかったんだよ、緩和ケアを」
佐々木常雄院長はチーム発展における最大の功労者であろう。抗がん剤の専門家であり、自身も苦しむ患者を前に悩み続けた。主治医との絆を切らずに専門家の知恵を活かす方法はないだろうか。院内に多職種のチームを作ろう。それが駒込病院のビジョンとなった。
チームはJPAP®のオレンジサークルアワード2009で総合力が評価され最優秀賞を受賞。2011年度には病院の改築に伴い、がんに伴う症状の緩和を目的とした専門の緩和ケア病棟が誕生する。チームメンバーであることが最高の喜びと話すメンバー。治療に立ち向かい、気持ちに寄り添ってくれる、患者にとって家族にとって最強の“応援団”だ。